アメリカ合衆国を欧州列強や米財界と組んで解体することを決定した夢幻会は、後日開かれた会合で戦略の修正を開始した。
尤もアラスカに侵攻し、そこから五大湖周辺を叩く戦略に修正は無い。主に修正するのは西海岸攻撃の取りやめ、そして連邦
解体後の旧アメリカ合衆国の領土及び富の取り扱いだった。
何しろ唯でさえ広いアメリカを分割するには、列強間の綿密な連携がどうしても必要となる。尤も夢幻会会合メンバーは
イギリスは兎に角、ドイツやイタリア、ヴィシーフランスとの調整は難儀するのではないかと考えていた。
「アレだけ派手に暴れましたからね……欧州各国、特にドイツが何と言うことやら」
料亭の席で嶋田がぼやいたように、英独停戦までに日本が欧州列強に与えた損害は多大なものだった。特にドイツは第一次世界
大戦以来散々、日本によって煮え湯を飲まされている。そのドイツがアメリカで影響力を持つというのは、後のことを考えると面倒で
あった。
しかし残念なことに短期決戦で戦争を終え、かつアメリカ人の恨みを分散させるにはドイツやイタリアなど枢軸国を味方に
組み込むしかなかった。
「ですがやるしかないでしょう。こちらも余裕があるわけではないのですから」
辻の言葉に現状を理解している会合出席者達は頷いた。
すでに異常気象の兆候は見られており、長期戦になれば国内経済に多大な悪影響がでかねない。加えて今後は地震などの天災が
相次ぐ予定なのだ。異常気象に地震のダブルパンチに備えるためには、この戦争をさっさと切り上げたほうが良い。
ただし戦争を終らせるにしても、ある程度の戦利品は必要だ。これだけ勝っておいて、何の戦利品も獲れなかったら、国民が
どんな反応をするかは想像するまでもない。しかし強欲が過ぎれば欧州列強との関係を悪化させかねない。さじ加減が問題だった。
「国民向けのパフォーマンスを兼ねてアラスカ、そしてハワイ諸島以西のすべての島嶼の割譲を要求するのが適当。あと東アジアの
権益、特にフィリピンの市場や各種権益の開放も必要になるでしょうな。経済界もこれで多少は収まる」
近衛の言葉に、嶋田は頷く。彼はこれまでの付き合いで財界が、日本独自の勢力圏と市場を欲していることをよく知っていた。
フィリピンに侵攻して根こそぎ奪うというのもあるが、下手にフィリピンに侵攻すると面倒なことになるのは確実なので、彼らは
フィリピンは最後まで封鎖に留めることにした。
「まぁ領土の割譲が無理なら租借という手もありますし……尤も米財界の人間にも多少は代価を払ってもらう必要がありますね」
辻はニヤリと黒い笑みを浮かべる。
「また無茶なことをするつもりか?」
「別に無茶をするというわけではありませんよ。この混乱によってアメリカの特許はどんなものがあったか、誰が所有者かが
判らなくなっています。故に我々が正統な権利者の権利を護るために代わりに特許を持っておくのです。混乱が収まり本当の
権利者がわかれば、その人物に返還する。何の問題もないでしょう?」
「ワシントンDCの官庁はそこにいた役人共々軒並み壊滅している。どんな特許があったかなんて永遠に判らないだろうにって
それが狙いか……悪辣だな」
嶋田の感想に、辻は当たり前といわんばかりの表情で答える。
「勿論です。まぁいきなり乗り込んで奪うとなると反感を買うでしょうから、各国と協力しつつ特許を接収していきます。
これから登場する家電製品、GPS、インターネットの技術に関わるものを根こそぎ押さえておけば今後の帝国の発展は
約束されます。ああ、ついでに倒産寸前の企業を叩き買うというのも手ですね。特に拳銃メーカーが欲しいですね。将来、
この地球上ではあちこちで史実の第三世界のような光景が繰り広げられるでしょう。そんな地域に売れる手ごろな武器である
拳銃を販売するためには在米のメーカーの技術やノウハウが必要ですから」
「まぁ他にも欲しいものは幾らでもありますが」と嘯く辻を見て、嶋田は嘆息する。
「……何もかも奪い取ると?」
「奪えるものは全て奪います。精々、我が国の発展のための肥やしになってもらいましょう」
辻はアメリカ人が築き上げてきた技術、富、市場など奪えるものは片っ端から奪い取る気だった。
「アメリカ人だって弱者(アメリカ原住民)から土地を奪い取って国を作ったのです。自分達が同じことをされても因果応報と
いうものですよ」
「……しかし米財界が納得しますか?」
「別に根こそぎ奪うわけではありません。彼らが生きて、経済活動をするために必要なものまでは奪いません。それに新国家
樹立のために様々な支援をするつもりです」
「新国家に投資すると?」
あのドケチな辻が金を外国につぎ込むと聞いて誰もが驚いた顔をする。だが辻は心外とばかりに顔をゆがめて言う。
「西海岸まで荒廃したら有力な市場が減ってしまいます。ただでさえ最大のお得意様だったアメリカが消えるのです。
その代わりとなる消費地の確保は必須ですから。それに……軍としてもそのほうが良いでしょう?」
嶋田もこれには反論できない。西海岸一帯に建国された新国家を仮想敵とすれば、海軍の予算を確保する大義名分ができる。
戦後に軍縮は避けられないが、それでも仮想敵がいるといないとでは大きな差がある。かと言って嶋田は辻にへこまされたまま
引き下がる男ではない。
「急激に拡大する帝国の支配領域に対応するために軍事力の確保は必要ですよ。不本意なことに太平洋の全域を支配しなくては
ならないのですから。状況によってはインド洋も作戦海域に加わります」
「ははは。耳が痛いですね。まぁ必要な軍事力整備には十分な金は回しますよ。ですが史実米軍並に大型空母を揃えるというのは
無理なので、覚悟しておいてください」
「判っています。ですがコスト削減のためにも戦艦は当面残す必要があるので、その経費は頼みますよ」
お互い黒い笑みを浮かべて視線を交わす二人。しかしここで言い合っても仕方ないと思い直し、二人は本筋に戻る。
「旧アメリカ合衆国の太平洋岸は西部諸州を中心とした同盟国で固められます。問題は南ですね」
この辻の言葉に近衛は同意する。
「その通り。史実よりは少ないですが、日系移民も居る。移民保護を名目に介入する準備も進めたほうが良い。
あとメキシコへの工作も急ぐ必要がありますな。メキシコは今は貧弱な国ですが、将来性があることは判っています。
それにメキシコをこちら側に引き込めれば、アメリカ南部に築かれる欧州の勢力圏に睨みを利かせられる」
近衛は欧州列強との友好が永遠に続くとは思えなかった。勿論、友好が続くように努力はするが、努力したからと言って
それが必ず結果に結びつくほど世の中というのは甘くは無い。そのときに備えることは必要だった。
さらに言えば地下資源が豊富で、食糧生産も活発な南米諸国は日本にとっても重要な地域だった。この地域と繋がりを持つ
ことは戦後を考えると必要だった。勿論、近衛はただ経済的な問題のみで南米を重視する訳ではない。
「ペルー、チリといった太平洋側の国々はこちらに引き込んでおきたいものです。下手に太平洋岸に潜水艦の基地など作られる
と太平洋の航路が脅かされる危険がある」
この言葉に嶋田は頷く。実際、ドイツ海軍の潜水艦基地が作られたら面倒だった。今なら兎に角、原子力潜水艦の登場などを
考慮すると太平洋側にドイツ海軍の拠点があるのは面白くない。また南米がすべて欧州、特にナチスドイツの影響下に入るのは
避けたいというのが近衛の考えだった。
(欧州には、精々ナチスドイツの支配体制の下で弱体化してほしいものだ)
ナチスドイツの支配が長引けば長引くほど、欧州の活力は次第に失われる。それはライバルの没落であり日本にとって望ましい。
しかし下手に力を持っていると窮状を打開するために無謀な試みに出る可能性もある。その可能性を潰すためには余分な力を
ドイツにつけさせてはならなかった。
「大西洋岸の地域でも、復興のために手を貸せることはあるでしょう。ここで日本と日本人の印象を良くしておけば色々と見返り
が期待できる」
ただ下手に中南米にまで手を伸ばすと欧州列強とぶつかる危険もあるので、細かい事前協議が必要であるとも結論付けられた。
アメリカ解体と戦後に向けて夢幻会はその準備を着々と進めた。だが事態は彼らの予想を遥かに超える速度で進行することになる。
提督たちの憂鬱 第45話
ハワイ沖海戦後、デューイたちを中心とした和平派は、日本との和平を結ぶべく国内の取りまとめを急いだ。
太平洋艦隊が事実上壊滅した以上、これ以上戦えば本土決戦ということになる。そして本土決戦となれば戦場はまず西海岸だ。
東海岸が壊滅している状態で、西海岸の主要都市まで灰燼に帰すようなことがあれば、米国の復興は絶望的になる。それどころ
か列強による草刈場になりかねない。
そんな懸念がデューイたちを動かした。
「今は臥薪嘗胆の時です。これ以上、戦いを続ければ我が国は崩壊してしまう」
新たに海軍作戦部長に任命されたゴームリー大将、そして合衆国艦隊司令長官に任命されたハルゼー大将も、デューイの
説得に同意し、戦争終結への道を探ることになった。
ハワイ沖での戦いで、日本海軍との歴然の差を思い知らされたハルゼーは、現状で戦い続けるのは部下に無駄死にを強要する
に等しいと考えていた。しかし政治家が戦えという以上、戦う術を探るのもハルゼーという男だった。
「現状ではハワイ防衛すら不可能だ。旧太平洋艦隊の残存艦艇、いや合衆国海軍をすべて西海岸に集結させる必要がある」
尤も合衆国海軍を集結させると言っても主力艦は戦艦5隻(うち1隻は中破)、空母3隻(うち1隻は中破)に過ぎない。
さらに言えば空母に載せる艦載機とパイロットにさえ事欠く有様だ。現状で防衛戦になっても的となるだけと言える。
しかしハルゼーは最悪の場合、勝つためならば空の空母を囮にすることも止むを得ないと考えていた。
「たとえ合衆国海軍が残っても、合衆国が負けては意味が無い」
ハルゼーは黄金よりも貴重な空母を囮にして日本海軍の目を引き付けつつ、西海岸に展開する陸海軍航空隊と潜水艦隊に
よって日本艦隊に痛打を浴びせることを考えていた。ただしハワイ沖での敗戦から、ハルゼーは通常の方法では日本艦隊に
大打撃を与えるのは困難とも考えた。
「ジャップのジーク(零戦のコードネーム)には歯が立たない。それに優秀なレーダーによってすぐに見つかってしまう。
そして何とか近寄ることができても、今度は鉄壁と言っても良い弾幕射撃。これでは手が出せん」
ハルゼーはハワイ沖での戦訓、そしてこれまで収集した日本軍機の情報を基にして何とか有効な攻撃方法を編み出そうと
するが現状では到底不可能なものしか浮かばない。夜間空襲も考えたが、練度がただ下がりの米軍航空隊では実施するのは
困難だった。
練度が高いパイロットを集め、必要な機材も集中させれば出来ないことは無いが、その部隊だけでは到底、日本軍を押し
留めることは難しかった。八方塞と言っても良い状況に陥ったハルゼーは司令部の長官室で頭を抱えた。
「何もかもが不足している。パイロットも、機材も、時間もだ」
そんな中、ハルゼーのもとに一通の上申書が持ち込まれた。それを見たハルゼーは怒りの余り、顔を真っ赤にしたが、現状では
その上申書に書かれている新戦術より有効な方法はなかった。
「体当たりを前提とした特別攻撃隊の編成、か。こんな狂気の沙汰のような真似をせざるを得なくなるとは……」
ハルゼーは自分達の不甲斐無さに憤る。だが本土を守るにはこれ以外に手は無いとも結論付けた。そして結論に至ったハルゼーの
行動は早かった。特別攻撃隊の編成に取り掛かると同時に、本土防衛のために戦力の結集を具申した。
「ネプチューン(連山改のコードネーム)の夜間空襲によって真珠湾の機能は停止しつつある。西海岸への回航は一日でも早い
ほうが良い」
このハルゼーの訴えは、ゴームリーを通じてガーナーの耳に届く。
すでにハワイ防衛は難しいと判断していたガーナーはこのハルゼーの具申に賛同し、即座に合衆国艦隊を西海岸に集結させる
ように命じた。
「太平洋艦隊は敗れたが、まだ戦えるだけの艦隊があるということを西海岸の住民に示すだけでも価値はあるだろう」
太平洋艦隊壊滅の真相を隠しているものの、すでにあちこちで太平洋艦隊が手酷い損害を受けたという情報は漏洩していた。
そこで戦艦5隻、空母3隻からなる艦隊を集結させれば、まだまだ戦えるだけの戦力があることを国民に示し、動揺もある程度は
押さえることができるとガーナーは考えた。
尤もガーナー自身、すでに戦争継続は困難であり、停戦の道を探らざるを得ないと考えていた。だが現状では日本が矛を収めないだろう
とも判断していた。故に彼は本土決戦に備えて海軍のみならず陸軍の戦力も西海岸に集めることを決意する。
「アイゼンハワー大将、新型のM4中戦車、M12駆逐戦車、それに新型戦闘機を出来るだけ西海岸に配備しろ。それと本土決戦に
備えて住民の避難計画の作成を急げ」
閣議の席で放たれたガーナーの言葉に、出席していた閣僚達は仰天した。確かに米軍はこれまでの戦訓を基にして何とか新兵器を
開発して前線に配備しつつあった。だがその数はお世辞にも十分とは言えない。この状況で戦えば犠牲が増えるばかりだ。そればかりか
西海岸の防衛戦で多大な被害を受ければ、西部諸州が連邦から脱落しかねない。
デューイは本土決戦だけは避けるべくガーナーを説得しようとする。
「大統領、本土決戦だけはお止めください。西海岸まで灰燼に帰すれば我が国の再建は著しく困難になります」
しかしガーナーはデューイを小馬鹿にしたような態度で答える。
「戦争と言うのは相手が居るのだ。連中がこちらの呼びかけに応じなければ戦争は継続となる。ならばそれに備えるのも政治家の
仕事だ」
「……大統領は日本に和平を呼びかけるおつもりなのですか?」
意外そうな顔をする出席者達。誰もがガーナーを頑迷な継戦派と思っていただけに、ガーナーが現状で日本との和平を考えている
という含みを籠めた発言をしたことに驚きを隠せなかったのだ。
閣僚達の驚きの表情を見て、ガーナーは不機嫌そうな顔をしながら言う。
「私とて、現状で日本と戦って勝てるとは思えない。それに戦い続けるだけの余裕も我が国には無いだろう。
しかし調子に乗った猿が、簡単に矛を収めることはないだろう。ならば、連中に手痛い打撃を与えて諦めさせるしかない」
ガーナーは閣議の席でそう言い放ち、安易に和平を推進しようとしているデューイを牽制する。これにはデューイも苦い顔を
しつつ同意せざるを得なかった。彼にとっても太平洋艦隊が日本海軍に大した損害を与えることなく壊滅したのは誤算だった。
(結局は、私達も日本海軍を見くびっていたということか……)
ガーナーは押し黙ったデューイをさらに問い詰める。
「それに下手な降伏論を唱えてみろ、各州、特に保守的な南部諸州がどんな反応を示すと思う? 下手をすれば国が割れるぞ」
名誉ある和平なら兎に角、黄色い猿に膝を折るとなれば白人至上主義者が激昂するのは間違いなかった。
デューイ達が提示するような条件(賠償金、領土の割譲、東アジアの権益譲渡)でも反発があるというのに、それ以上の要求を
日本が突きつけてくれば戦争は継続するしかない。
「では和戦両様の構えでいくと?」
「そうだ」
この言葉にデューイ達和平派は不承不承ながら頷いた。実際、ガーナーの論理は間違っていないのだ。
だが同時にこの状況にも関わらず、降伏を選択できない祖国の状況を嘆いた。
(日本帝国は戦争を避けたがっていた。それをハルノートという恥知らずな最後通告を行って、戦争に追い込んだ……
民主主義によって選ばれた政府が、祖国と国民を滅びに追いやろうとしていると言っても過言ではないな)
デューイは自分達が信奉していた民主主義というのが実は非常に危ういものではないのかと思ってしまった。
(民主主義がヒトラーを生み、世界大戦を引き起こした。我が国でもロングと言う好戦的大統領が選ばれ日米開戦の引き金を
引き、そして我が国を滅亡に追い込みつつある。そんな政権を選んだ市民が悪いといえばそれまでだが……)
民主主義は多数決だ。過半数の賛同が得られた政策が正式に実施される。だがそれが明らかに間違いだったことが明らかに
なっても自分達のくだらないプライドや意地に拘って足を引っ張るのはおかしい……デューイはそう考えた。
だがそこまで思考が及んだとき、デューイは慌てて首を横に振る。
(いや、そんな問答は後だ。あのガーナーが和平の可能性を口にした。これは大きい。これで和平工作を大っぴらに出来る!)
これを境にデューイは和平工作を推し進めていく。そしてガーナーも対日和平の可能性を示唆するために国務長官に奇跡の
生還を遂げた前駐日大使ジョセフ・C・グルーを任命した。
「頼むぞ。グルー長官」
「全力を尽くします」
新たに任命された国務長官以下の新スタッフは、辛うじて組織を再建したOSSとも協力して中立国経由で日本に和平を呼びかける
準備を進めた。
だがこれらの動きをアメリカ財界は冷ややかな目で見守っていた。
「ふん、漸くガーナーは方針を転換したようだな」
「対日和平がすでにあり得ないということを彼らが知ったら、どんな顔をすることやら」
自分達の既得権益を守るために、国を売り渡した男達は薄暗い会議室の中で現政権を嘲笑った。
彼らが集っている場所は、カリフォルニア州・サンフランシスコ。この異常気象にも関わらず、比較的温和な気候を維持
している都市に彼らは本拠を移していた。
財産の全て移動させられたわけではないものの、彼らは一族が一生遊んで暮らしていけるだけの財産を抱えたまま、この地
への移動を完了させていた。合衆国各地では餓死者、病死者、凍死者が相次ぐ中、彼らは悠々と暮らしていた。
そんな愛国心など欠片も無い彼らの策謀は次の段階に入っていた。
「日本は我々の誘いに乗った。これで我々も安泰だな」
「次は合衆国海軍、そして陸軍の囲い込みだ。州軍だけでは心もとないからな」
「そのとおり。幸い、ガーナーは本土決戦のために西海岸の防備強化を図っている。これを利用しない手はあるまい」
本土決戦に備えるため、連邦政府は西海岸各地に陸軍を増員していた。さらに州政府に対して州軍の大幅な増強を認めている。
これによって州政府は大幅な軍備増強を図ることが可能となっていた。カリフォルニア州はメキシコの不安定化、そして西から
迫る日本軍への脅威に備えるためとして州兵を大幅に増員していた。
しかし肝心の兵器はお寒い限りだった。日本軍機に全く歯が立たないF4FやP−40といった機体でさえ満足に配備する
ことはできず、大半はF3Fのような複葉機。攻撃機も似たような状況だ。戦車など第一次世界大戦時の骨董品が後生大事に
使われている。さらに言えば津波、そして経済破綻による影響で消耗品の確保さえ事欠く有様だ。
こんな状況で連邦軍とまともにぶつかれば、あっという間に蹴散らされるのは目に見えている。故に彼らは連邦軍そのものを
取り込むつもりだった。
「問題は東部や中部出身者だな。連中が西海岸政府の命令を聞くとは思えんが」
「東部の人間については、家族を安全な西海岸に脱出させるという取引が使えるだろう。何しろ輸送機に家族を乗せて脱出させ
ようとする輩さえ居るのだ」
「家族を人質か。ふむ、確かに有効だな。あとは金で買収するかね?」
「だが金で国を売る軍人、特に将校には能力に疑問符がつく輩が多い」
「確かに。優秀と誉れ高いアイゼンハワー大将を中心にした一派はアメリカ合衆国に忠誠を誓っている」
「面倒なことだ。いや本来なら、それこそが望ましい姿だったのだが……今となってはな」
この言葉に誰もが苦笑する。そうする内に、一人の男が口を開く。
「今のアメリカ合衆国というシステムそのものが信頼に値しないものとすれば良い。幸い、この国は革命を保障している。
シカゴの政府が信頼に値せず、我々が作る政府こそが本来のアメリカの正義、価値観を継承するものと信じさせるのも
手だろう」
「だとすると、現政府が致命的な失策をする必要があるが」
「そのときは近い。被災地のみならず、五大湖周辺でも治安は悪化している。さらに食料不足と疫病。これだけ悪条件が
揃っているのだ。ロシアで起こった血の日曜日事件と同じようなことが起きても不思議ではないだろう?」
この言葉を聞いた男達はニヤリと笑う。
「確かに。否定は出来ませんな」
「皇帝崇拝が打ち砕かれたように、今の政府の正当性も打ち砕かれる、と」
「確かに。そのあとなら説得もしやすい。ついでに連邦の瓦解を促進させられる」
「だが時期にも依りますな。日本人とイギリス人と協議する必要もあります」
「まぁ大筋はそれで良いのでは?」
男達は同意に達した。そしてすぐに話題を変える。
「しかし連邦軍の取り込みだけでは、戦後が厳しいですな。日本と同盟を組むとしても相応の武力が無ければ舐められます。
加えてあの連中のことです。西海岸を経済的植民地として支配しかねない」
「あの抜け目の無いエコノミック・ビーストならあり得るな」
現在、日本と日本人は油断もすきもならないモンスターと思われていた。信じ難いほどの経済成長を成し遂げ、欧米列強に勝るとも
劣らない、いや一部では欧米を凌ぐほどの高度な技術力と軍事力、そして文化を持ち合わせた有色人種の国家……それが日本の評価だ。
「全く、一体何をどうやれば、あんな国家が出来るのだ。一年中天災が起こり、資源も食糧も自給できない小さな島国が……」
「日本人の潜在的才能、そしてそれをうまく発揮するように誘導した総研、いやその背後にいる『夢幻会』とやらのせいだろう」
「だが1億人に満たない日本人でさえ、ここまで強くなった。もしも有色人種が一致団結するようなことがあれば……我々白人は
地球から駆逐されてしまうな」
誰もがその可能性に震え上がる。これまで有色人種を散々に食い物にして力を蓄えてきた白人が、力をつけた有色人種によって
駆逐される可能性に思い当たったとき、誰もが言い知れぬ恐怖に襲われた。
夢幻会会合メンバーからすれば一笑に付すような妄想であったが、当の本人達は至って真剣だった。何しろ欧州は大戦の痛手と
津波の被害で青息吐息。米国は崩壊寸前。白人の権威と権力を支えてきた国家は軒並み弱体化しているのだ。
「さしずめ日本は蘇ったアングーモワの王といったところか」
「フン族同様に強力な軍事力を持っているからな。間違ってはいないだろう。ただ、過去のフン族と違って、日本帝国は
優秀な官僚組織、シンクタンクを持っている。一度や二度負けたくらいでは崩れん」
「そしてその脅威を実力で取り除くことは当面不可能。ならば付き合っていくしかないだろう。連邦から離脱する際に出来る
限りの新兵器を持っていく。多少のブラフにはなるだろう」
米軍はこのとき、西海岸防衛のために何とか開発に成功した新兵器群、特に航空機を西部諸州に重点的に配備していた。
航続距離を削って空戦能力を高めた米国版二式単戦のP−77、重防御の日本軍爆撃機を撃墜するために20mm機銃を搭載
したP−38、さらに余ったツインワスプエンジンを無理やり載せたP−51Fなど配備されている航空機は様々だった。
さらにその生産工場も、アメリカ風邪の影響から逃れるためという名目で政府の金を使って西海岸に移設させている。
全ての工場が移動できたわけではないが、西海岸が独立したからといって即座に部品が不足するという事態は避けられる。
「兵器は何とかなるとしても、やはり問題は人だな。連邦軍の取り込みだけでは将来、厳しいだろう」
「いっそのこと、あの男を使うかね?」
「あの男? ああ、マッカーサー中将のことか。確かに優秀ではあるが、我々の言うことを聞くかな?」
「聞くさ。この戦争が終ればフィリピンの利権など大半が失われる。あの尊大な男が自身と一族の凋落を受け入れると思うか?
それにこのままいけば米国は3分割される。そのうちの一極で軍人として頂点を極められるとなれば引き受けるだろう」
「それにかつての自分の部下であったアイゼンハワーが陸軍参謀総長となり、辣腕を振るう体制に戻りたいとは思わんだろう」
「マッカーサーが呑めば、極東米軍の将校の中にも新政府に靡く人間が多く出るはずだ」
シカゴの暫定政府が和平への道を模索する中、足元ではアメリカを切り捨てる動きが加速していった。
米軍が日本軍に対抗するべく新兵器を懸命に配備しているように、日本軍は米軍を圧倒すべく新兵器の開発と生産に
余念が無かった。
海軍ではターボプロップエンジン搭載機であり、現段階では世界最強と自称しても過言ではない新型機『烈風改』が
ロールアウトし、前線部隊への配備が開始された。加えて烈風改と同様にターボプロップエンジン搭載機である新型攻撃機
流星改の開発も進められている。
「烈風改と流星改が十分に配備できれば、米軍を質の面で圧倒できる」
海軍省で報告を受けた嶋田は満足げだった。
今でも烈風は無敵に近いが、嶋田は現状に胡坐をかいて新兵器開発を怠るつもりはさらさらない。少しでも気を抜けば
逆襲される……彼は本気でそう考えていた。
「我々はあの世界最強の米軍と戦っているんだ。新兵器開発競争での敗北は許されん」
嶋田は倉崎に発破をかけて日本版F−86こと四式戦闘機『疾風』の開発も強力に推し進めた。疾風は戦闘能力もさること
ながら、その拡張性から将来は戦闘爆撃機に改造することも可能な優秀な機体だ。
「イギリスやドイツが同じようにジェット機を繰り出してきても、暫くは航空優勢を確保できる」
空技廠の技術者達、倉崎の技術者達はそう言って太鼓判を押す。実際、それだけの実力を疾風は有していた。
そしてこの疾風を余裕を持って運用できる超大型空母・大鳳の建造も順調に進んでいた。24時間体制で建造されている
この超大型空母は2月には完成して艦隊に配備される予定だ。
訓練期間を考慮すれば前線にでるのは43年中盤になるが、この超空母が前線に出れば日本空母部隊の戦力は飛躍的に向上
すると誰もが考えていた。
この順調な軍備の増強、そして開戦以降の連戦連勝から海軍の人間の中には、戦争に関して楽観的な見方が広がっていた。
それは衝号作戦の存在を知らない夢幻会派将校も同様だった。尤も津波によって東海岸の造船所を失い、太平洋艦隊、アジア艦隊を
壊滅させられた米国が対日戦争で攻勢に出る力を失ったことは事実なので、楽観的になるなと言う方が難しい。
「全く、楽観的になりすぎだ。米国は確かに瀕死の巨人だが、まだ死んでいないというのに」
海軍御用達の居酒屋の一室で嶋田はぼやいた。そんな嶋田を南雲が苦笑しながら慰める。
「仕方ありませんよ。それにこれまで米国によって散々に圧迫されてきましたから、その反動もあるのでしょう」
「そうやって慢心した結果、奇襲を許して空母部隊壊滅なんてことが起きたら目も当てられませんよ。米国は津波であれだけの損害を
受けても尚、新兵器を開発、配備しているんです。手酷い目にあう可能性は十分にあります」
そう言って嶋田はコップにあった日本酒を飲み干した。
尤も当のアメリカ海軍の人間が嶋田の言葉を聞けば全力で首を横に振って「過大評価です」というのは請合いだった。実際、それほど
までに日米の兵器は質の面で大きな差があった。
「まぁ現状ではそこまで大やけどするようなことは無いでしょう。嶋田さんや草鹿さんが構築した防空システムはハワイ沖で
その真価を発揮したじゃないですか」
「ハードウェアが良くても、それを扱う人間がダメなら効果は激減します。そこを突かれたら痛い目にあいます」
嶋田の言葉を聞いて、さすがの南雲も心配そうな顔をする。
「私は海保にいたので、少し事情に疎いのですが、そこまで悪いんですか?」
「……若干気が緩んでいるのは否めませんね。夢幻会派の将兵は『粛清』の件があるので、まだマシですが」
「辻さんに感謝しなければならない日が来るとは……複雑ですね」
このあとも散々に愚痴った後、嶋田は小声でとんでもない爆弾発言をした。
「南雲さん、私は近い将来、海相を辞すことになると思います」
「なっ、それはどうしてですか?」
「さすがにこれ以上は体力面の問題から三職兼務は厳しいですよ。それに私があまり権力を独占しすぎれば不満も大きく
なるでしょう。対米戦が新たな段階に入るのを機にして海相に別の人間を当てるとなれば、批判も抑えられます」
「なるほど。では、誰を海相に当てるんです?」
「……山本大将を海相に就任させることを考えています」
「山本さんを? ですが彼は……」
「戦闘機無用論を機にして主流から外しましたが、もうそろそろ戻ってきてもらいます。あれだけの軍政家を遣支艦隊の
長官に当てておくというのは非効率的ですし、何より間違った理論を唱えたら放逐されるという印象を内外に与えます。
それは組織の硬直化を招くでしょう。幸い、彼はこれまで十分すぎる実績を挙げています。海相就任にも文句をつける
輩は居ないでしょう」
「本人が納得しますか?」
「確かに彼としては含むものもあるでしょう。ですが帝国と皇室を重視する彼なら最終的に頷きますよ」
気の緩みが見える海軍と違って、最大の仮想敵であるソ連が健在(?)な陸軍は全く気を緩めていなかった。
彼らは三式戦車の生産と四式重戦車の開発を急がせる一方、新たなドクトリンの開発に余念が無かった。
「三式戦車は従来の九七式の生産ラインを流用できる。戦争中だが何とか数を揃えることは出来るだろう」
陸軍省の一室で開かれた会議で、杉山はそう結論づけた。これにほっとした雰囲気が広がる。特に前線を預かっていた
東条は安堵した顔だ。何しろ前線では一両でも多くの戦車が必要なのだ。出来ていない高性能戦車一両より、平凡でも信頼性
が高く使える戦車二両のほうが有難いのだ。
「日本版T34−85たる三式戦車は90mm砲を搭載している。数を揃えればソ連軍の重戦車にも何とか対応できる。
そして四式重戦車はソ連軍の重戦車、それにドイツ軍のアニマルシリーズとも殴り合える。暫くは何とか凌げる」
四式重戦車は日本では初めて105mm砲を搭載した重戦車だった。攻撃力に相応しい防御力も兼ね備えており、技術者は
「不敗戦車」と太鼓判を押していた。
しかしながら四式重戦車へ不満がある牟田口が眉を顰める。
「ですが四式は小型で、乗員への負担も大きい。それに今後のドクトリンでは四式のようなソ連式よりも、NATO、特に
西ドイツの戦車のほうが好ましいのでは?」
「……判っている。次の新型戦車からは、史実の西側陣営のものになるだろう」
四式重戦車はもともとは対ドイツ戦争のために開発された。早期参戦に失敗し独ソ戦が確実になると陸軍は戦車の異常な発展が
起きると予見し、いずれ再開される戦争で重戦車は必要不可欠になると考えた。日本戦車弱しとの印象をスターリンに与えれば
満州での紛争の切っ掛けになりかねない。故にドイツ軍のアニマルシリーズを打ち破り、かつソ連軍への抑止力ともなり得る戦車
として四式が開発されたのだ。四式は日米英連合軍の圧倒的支援の下、ドイツ軍の防衛線を突き破る役割を期待されていた。
だが状況は劇的に変化している。このままでは欧州で戦うことはありえず、むしろ圧倒的多数のソ連軍を相手に満州で戦う事態が
想定された。杉山など北米分割の可能性を知る者たちの頭の中では、北米で欧州陸軍とガチ勝負するという想定もあった。
(北米でドイツ陸軍と決戦か……何と言うRS○Cな展開だ)
杉山は苦笑いを噛み殺しながら話を続ける。
「次の戦車、技術面から恐らく八式になるだろうが、これは新たなドクトリンの下で開発するだろう。幸い予算は確保できる。
十分な攻防性能を持つ戦車を手に入れることができる」
尤も予算と引き換えに人体実験をさせられていることを知る陸軍軍人たちは一様に苦い顔だ。
「やれやれ、後の歴史書に何と書かれることやら……」
当事者たる東条は不満げに顔を顰める。しかし周りの人間も慰める程度しかできない。誰だって汚れ仕事は嫌なのだ。
だがそんな彼らをさらに憂鬱にさせることがあった。そう、発動が迫ったアラスカ侵攻作戦だ。
「アラスカ攻略作戦も問題があるからな。幸いアラスカの防備は手薄だから攻略は何とかなりそうだが、気象条件から補給が難しい。
それに米本土で広がっているアメリカ風邪を考慮すると点と線の確保が手一杯だろうな」
杉山の言葉に誰もが頷く。
「海軍が補給線の維持を確約できなければ、絶対に賛同できない作戦ですね」
「ガ島、いや史実ニューギニアのような惨状になったら目も当てられない。戦死者より餓死者や病死者が多いなど洒落にならん」
「全くだ。だがやるしかないだろう。この戦争を短期間で終らせるためにも」
「ハイリスク・ハイリターンの見本だな」
陸軍としてはアラスカのような極寒の大地に侵攻するなど願い下げだった。だが短期決戦のためにはやるしかないのが実情だった。
アラスカ侵攻作戦、作戦名『星一号』は帝国の総力を挙げた作戦であると同時に、途方も無いギャンブルであった。
そして陸軍はこの帝国の命運をかけた作戦の司令官として今村均大将を当てることを決めていた。陸軍上層部は日本陸軍指折りの
名将をもって、この戦争に決着をつけようとしていた。
あとがき
提督たちの憂鬱第45話をお送りしました。
……日米の格差が滅茶苦茶開いていることが明らかになりました(爆)。
戦後、日米両軍の状況が明らかにされたら、どんな感想をもたれることやら……さしずめ無理ゲー乙といったところか。
米軍は一式や零式に対抗できる戦闘機を開発しているのに、日本軍はターボプロップの烈風改、ジェット機の疾風を
作っていたなんて知ったら関係者は卒倒しそうだ。
次回以降、いよいよ米国の情勢は大きく変化する予定です。アメリカ滅亡へのカウントダウンと言った所でしょうか。
それでは拙作にも関わらず最後まで読んでくださりありがとうございました。
提督たちの憂鬱第46話でお会いしましょう。
今回投稿掲示板の案の中から採用させて貰った兵器のスペックです。
<烈風改(隼改)>零式艦上戦闘機二二型
全長:10.9m 全高:4.1m 全幅:12.2m
最高速度:726km 航続距離:2100km 上昇限度:1万2千m
自重:3510kg 乗員:1名
エンジン:<木星>ターボプロップエンジン3000馬力
武装:20mm機関砲×4(翼内)、爆弾1.5トン(またはロケット弾12発)
P-77「セイバー」
全幅 9m
全長 8.6m
全高 3.1m
自重 2750kg
発動機 ライトR-2600エンジン1,900馬力
最高速度 657km/h
航続距離 1,500km(増槽装備時)
武装 12.7mm機関砲6門(翼内)
爆装 225kg爆弾1発搭載可能
P−51F戦闘機
乗員:1名
全長:9.03 m
全幅:10.9 m
全高:4.17 m
空虚重量:2,910 kg
動力:P&Wツイン・ワスプ空冷エンジン ×1
出力:1,350 HP
最大速度:637 km/h
航続距離:900 km
実用上昇限度:10,200 m
武装
固定武装:12.7mm重機関銃M2×6
M12ジャクソン駆逐戦車
全長:6.7m 全幅:2.7m 全高:3m 重量:31.9t 乗員:5名
エンジン:コンチネンタルR975C1ガソリンエンジン400馬力
最高速度:時速37km 航続距離:200km
装甲:車体前面50.8mm、側面12.7mm、背面12.7mm
武装:38.2口径155mmM1918M1加農砲×1
コンペの結果、四式戦車としてham氏の案を採用させていただきました。
2013年7月28日。ham氏の要請により全長を10.00mから11.00mに修正しました。
四式重戦車(後に「四式主力戦車」に改称)
全長:11.00m
車体長:6.30m
全幅:3.00m
全高:2.60m
重量:50.0t
乗員:4名
エンジン:「流星」液冷700馬力ディーゼルエンジン
エンジン設置位置:後部
転輪:中型転輪
サスペンション:トーションバー
最高速度:48.0km/h
航続距離:230km
装甲種類:均質圧延鋼装甲・中空装甲(前、側面)
砲塔装甲
・防盾200mm(0度)
・前面20+130mm(60度)
・側面20+90mm(30度)
・背面20mm(0度)
・上面10mm
車体装甲
・前面上部20+100mm(60度)
・前面下部20+70mm(55度)
・側面上部20+70mm(55度)
・側面下部20mm(0度)
・背面20mm(0度)
・上面10mm
武装
・一式十糎戦車砲(五五口径105mm)1門
・7.7mm主砲同軸機銃1門
・12.7mm車載機関銃1門
・煙幕弾発射筒8基(砲塔側面中央部)
・Sマイン投射機6基(砲塔前面上部)
三式戦車
車体長:7.1m 全幅:3m 全高:2.7m 全備重量:40t
エンジン:<流星改(ミーティア)>液冷ディーゼルエンジン650馬力
最高速度:時速48km 航続距離:260km 乗員:5名
装甲厚:砲塔前面100mm(曲面)、前面95mm(傾斜60度) 側面:55mm(傾斜60度)
背面45mm(傾斜60度)
武装:60口径90mm砲1、12.7mm機銃1(砲塔上)
7.7mm機銃1(砲塔同軸)、煙幕弾発射装置8
車体の傾斜角を統一、表面硬化、傾斜角を深くし、主砲にT型マズルブレーキ装備